①の続き。
グラックスバーグはこれと似た別の実験もしました。
条件はおなじ。
どうなったでしょう?
今回はインセンティブを与えたグループの方が断然勝ちました。
なぜでしょう?
箱に画鋲が入っていなかったら、問題はバカみたいに簡単になるからです。
If Then式の報酬はこのような作業にはとても効果があります。
単純なルールと明確な答えがある場合です。
報酬というのは、視野を狭め心を集中させるものです。
だからこのような狭い視野で目の前にあるゴールをまっすぐ見ていればよい場合には
うまく機能するのです。
しかし本当のロウソクの問題ではそのような見方をしているわけにはいきません。
答えが目の前に転がってはいないからです。周りを見回す必要があります。
重要になるのはもっと右脳的でクリエイティブな考える能力です。
ロウソクの問題はどんな種類であれどんな分野であれ
If Then式の報酬は、機能しないのです。
21世紀的な答えのないタスクで高いパフォーマンスを出そうと思うのなら
人をより甘いアメで誘惑したり、より鋭いムチで脅すのはやめることです。
内的な動機付けに基づくアプローチをするべきです。
重要だからやる。好きだからやる。面白いからやる。重要な一部を担っているからやる。
ビジネスのための新しい運営システムは3つの要素を軸にし回ります。
自主性・成長・目的
自主性は、自分の人生の方向は自分で決めたいという欲求です。
成長は、何か大切なことを上達したいということです。
目的は、私たち自身よりも大きな何かのためにやりたいという切望です。
たとえば、Googleの20 Percent time
エンジニアの仕事時間の20%を好きなことに使っていい。
そしてよく知られている通り、新製品の半分近くがこの20%の時間から生まれている。
またROWE(完全結果志向の職場環境)と呼ばれるものあります。
この方針ではスケジュールがない。好きな時に出社していい。
ただ仕事を成し遂げればいい。どのように、いつ、どこでやろうとかまわない。
どんな結果になるでしょう?
ほとんどの場合、生産性は上がり、雇用期間は長くなり、社員満足度は上がり、離職率は下がります。
これは2つのアプローチの大きな対決なのです。
内的な動機付け VS 外的動機付け
自主性・成長・目的 VS アメとムチ
どちらが勝つでしょう。
前者がノックアウトで勝利します。
まとめると、
科学で解明したこととビジネスで行われていることの間には食い違いがある。
科学が解明したのは
1、20世紀的な報酬
機能はするが驚くほど狭い範囲の状況にしか合わない。
2、If Then式の報酬は時にクリエイティビティを損なう
3、高いパフォーマンスの秘訣は、報酬と罰ではなく、見えない内的な意欲にある
自分自身のためにやる、それが重要なことだからやるという意欲
科学知識とビジネスの慣行の間のこのミスマッチを正せば
21世紀的な動機付けの考え方を採用すれば
怠惰で危険なイデオロギー的なアメとムチを脱却すれば
私たちは会社を強くし
多くのロウソクの問題を解き
そしておそらくは
世界を変えることができるのです。
【参照】
youtube の動画
ダニエル・ピンク「やる気に関する驚きの科学」
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